【中国撤退へ秒読み】ホンダ新型アコードはハイブリッド設定無し? EV戦争下の中国でBYDがパニック状態のホンダをつぶしに掛かっています
中国市場においてホンダがトップセラー車であるアコードのモデルチェンジバージョンの正式発表を行い、特に新たにプラグインハイブリッド車を追加設定しながら、なんと既存のハイブリッド車のラインナップを終了したというまさかの動向とともに、
そのアコードの新規注文台数が全く伸びていない市場調査結果がなぜ確認されてしまっているのか、日本メーカーを本気で潰しに来ている中国BYDの驚異的な新型EV投入ラッシュの最前線とともに解説します。
新型アコードに見るホンダの新戦略は吉と出るか、それとも、、
中国のEV市場の成長はまさに驚異的で、新車の35%がバッテリーEVやプラグインハイブリッド車となっているというデータからも、その進行具合が明らかです。この勢いには日本市場との大きな差があり、日本のバッテリーEVシェア率が2%なのに対して、中国は24%と、非常に大きなシェアを占めています。
しかし、その中で日本の主要自動車メーカー、トヨタ、ホンダ、日産の中国における販売台数は苦境に立たされています。トヨタは横ばいで推移していますが、ホンダと日産は販売台数が減少傾向にあります。
一方で、中国の自動車メーカーBYDの販売台数は急成長しており、2022年には中国最大の自動車メーカーだったフォルクスワーゲンを抜き、中国最大の自動車メーカーになりました。BYDは現在、バッテリーEVとPHEVしかラインナップしていないEV専業メーカーで、成長する中国EV市場に対して、魅力的なEVを次々と投入しています。
それに対して、日本メーカーは魅力的なEVをラインナップすることができていないため、販売台数が落ち込んでいます。その証拠として、大衆セダンのセグメントでBYDのQin Plusが好評で、史上最高の販売台数を達成しています。この動きは、市場が魅力的なEVを求めている証とも言えるでしょう。
注目すべきは、大衆セダンセグメントにおける競合車種、日産のシルフィとホンダのシビックの販売動向です。元々月間4-5万台を売り上げていたシルフィは、現在では2-3万台と販売台数が減少し、中国の販売ランキングでトップ10レベルに落ちてしまっています。特に、シルフィは日産の中国での販売台数の半分以上を占めており、日産の最重要モデルであるため、その販売台数の減少は日産の中国市場での苦境を端的に示しています。
一方で、ホンダのシビックも販売台数が減少しています。しかし、日産とは異なり、ホンダはシビック以外にも人気車種があります。例えば、SUVセグメントのCR-Vや中大型セダンのアコードは月間1万台以上を売り上げており、これらの車種によってシビックの販売台数の減少を補うことが可能です。
しかし、注目すべき新たな動向があります。それは、ホンダのアコードに関するものです。ホンダは最近、アコードの新型モデルを発売しました。これは、ホンダが売れ筋モデルに素早く手を打ってきたことを示しています。
そして、新型アコードについては、特に注目すべき2つの点があります。1つ目は、ホンダが強みとしていたハイブリッド車のラインナップを廃止したことです。これまで、アコードはガソリン車とハイブリッド車の2つをラインナップしていましたが、新型アコードではハイブリッド車を廃止し、ガソリン車のみをラインナップすることにしました。
2つ目の点は、初めてPHEVがアコードに導入されたことです。つまり、新型アコードのラインナップはガソリン車とPHEVの2つとなりました。これらの変更は、中国市場のEVシフトへの対応とも解釈できます。
今回は、新型のホンダアコードとBYDのハン、そしてモデルチェンジが行われたトヨタカムリに注目します。これらはいずれも中大型セダンで、各社の主力車種の一つとなっています。
まず、新型アコードは初めてPHEV(プラグインハイブリッド)が設定され、17.7kWhのバッテリーが搭載されています。一方、ハンはエントリーグレードでさえ18.3kWhのバッテリーを搭載し、さらに大容量の30.7kWhのバッテリーを搭載したモデルも存在します。これにより、ハンのEV航続距離は最大200kmと、アコードのEV航続距離の2倍に達します。これは、EV航続距離を重視する消費者にとっては、ハンが優れた選択肢となります。
さらに、ハンはパフォーマンスモデルであるDM-pをラインナップに加え、スポーツカーに匹敵する動力性能を持っています。このDM-pはスーパーハイブリッドシステムで、0-100km/h加速が3.7秒と、テスラモデルYパフォーマンスと同等の動力性能を持つという、驚異的な加速性能を誇ります。
このような高性能なPHEVモデルは、同じ価格帯ではほとんど見られません。これは、BYDが一口にPHEVと言っても、さまざまなスペックを持つPHEVをラインナップに持つことができるという、その技術力と製品戦略の結果と言えるでしょう。
これらの動向から見ても、ホンダの新型アコードがBYDのハンの攻勢にどう対抗していくか、そしてその結果、中国市場における販売台数がどう動くかは、非常に注目されるところです。
ハンとアコードPHEVを比較してみると、全長はほとんど同じですが、ハンの方がホイールベースが広いため、車内スペースの広さではハンが有利になるでしょう。また、収納スペースの広さもハンが優れています。
また、バッテリーの保証期間はハンが距離年数無制限で保証しています。一方、アコードは3年または10万kmの保証期間です。さらに、ハンの車両保証は6年15万kmと長いです。
さらに、ハンはヒートポンプシステムを搭載し、急速充電に対応しています。また、インフォテインメントシステムのタッチスクリーンは15.6インチという大きさで、アコードの12.3インチと比較しても巨大です。
BYDの次世代型のサスペンションシステムであるDiSusシステムは、ハンにも搭載されています。このシステムは、可変サスペンションにより路面や走行条件に応じてミリ秒レベルのダンピング調整が可能です。
DM-pグレードについては、最上級グレードとしてゴールドイエローの塗装が施され、高性能な4ピストンキャリパーを搭載しています。インテリアもそのゴールドイエローのステッチ、シートベルトが採用されています。
そして、これらのスペックの差にもかかわらず、価格はハンの方が安いのです。アコードPHEVは日本円で約445万円からですが、ハンは約374万円からとなっています。さらに、EV航続距離がアコードの倍に達するハンのモデルでも、価格は472万円からとアコードと大差ない価格設定となっています。
以上のことから、EV性能、保証期間、内外装の質感など、あらゆる観点から見て、ホンダの新型アコードPHEVはBYDのハンに大きく見劣りしてしまっています。したがって、新型アコードPHEVの販売は厳しい戦いになると予想されます。
中国の第三者機関による調査によると、BYDハンの売れ行きは好調で、各販売店での成約台数が6-7台となっており、新たなユーザー層にも刺さっていることが示唆されています。購入者の年齢層は30代で、これまでのハンの購入層よりも若くなっているため、さらなる販売台数の増加が期待されています。
また、ハンを検討しているユーザーの30%がテスラと迷っている一方で、同じく30%がホンダアコードと迷っているという結果も出ています。これはハンの購入を検討している中国人の多くが、アコードと比較していることを示しています。
しかし、新型アコードの成約台数は極めて低く、各販売店では1台にも満たない成約台数で、オーダー数の調査を打ち切るほどだという結果が出ています。このことから、新型アコードの注文台数が前モデルよりも大幅に減少していることが明らかになりました。
一方、ハンは発売開始72時間で既に13695台もの注文台数を記録し、そのうち上級グレードのEV航続距離200kmバージョンが注文全体の4割近くを占めていることから、BYDの利益率も非常に期待が持てる状況です。
既にシビックがBYDのQin Plusに敗北した後、今度はアコードもBYDのハンに敗れる可能性が高くなっています。これらの結果から、中国市場においてホンダがますます厳しい戦いに追い込まれていることが示されています。
ホンダが頼りにしているSUVセグメントのCR-Vですが、BYDも同じくSUVセグメントで中国国内で最も売れたEVのフルモデルチェンジバージョン、Song Plusを近々発表する予定です。そのエクステリアデザインは先代モデルと比べて洗練されており、価格も実質的に下がる可能性があると予想されています。これはまさにCR-Vへの対抗策とも言え、ホンダの最後の砦を崩す可能性があります。
また、ホンダのEVであるe:Nシリーズの販売台数が壊滅的であることから、既に2023年時点でBYDがホンダに対して優位に立っています。BYDは以前から競争相手はEVを販売しているテスラや中国のEVスタートアップではなく、内燃機関車を販売し続けている日本メーカーなどの既存メーカーだと公言しています。
そして2023年、BYDが本格的に日本メーカーを攻撃し始めたことで、ホンダがいつまで耐えられるのかが大きな問題となっています。このBYDの攻勢に対してホンダがどのような対策を打つのか、そしてそれが成功するのか、それはこれからの展開を見守るしかないと言えます。
From: Auto China、BYD(Han)
Author: EVネイティブ