【東南アジアの激変】”日本の庭”タイ市場でEV販売急増 日本勢が取り残される危機? 中国メーカーとテスラが猛追&EV工場建設ラッシュへ

BYD

東南アジアのタイ市場における直近の3月度のEV販売台数が速報され、前年比で10倍近い販売台数を達成しながら、BYDを筆頭とする中国メーカー勢とテスラがEVマーケットを支配、

そして、中国メーカー勢が一斉にEV生産工場を建設し始めているという極めて厳しい現実について、この日本の庭であるタイ市場の最新動向を一挙にアップデートします。

タイは日本の3.5倍以上EVが売れています

タイは東南アジアの中央に位置し、経済発展の観点では非常に目覚ましい成長を遂げています。タイの人口は7000万人を超え、東南アジア全体の経済成長のポテンシャルを持っています。

タイの自動車販売台数は2022年度に年間86万台以上を達成しました。日本市場と比較すると、人口規模から考えるとまだまだ車を所有したくても所有できないタイ人が多く存在しています。タイ市場は、日本メーカーを筆頭とした様々な自動車メーカーや主要サプライヤーが工場を運営し、東南アジア全体の自動車のハブ工場となっているため、日本メーカーにとって極めて重要なマーケットです。

しかし、タイ市場では2022年に大きな変化の兆しがありました。日本メーカーはタイで圧倒的なプレゼンスを持っていますが、電気自動車の販売シェアではほとんどプレゼンスを発揮できていません。逆に、中国メーカーのMG、Neta、BYDなどがタイの電気自動車市場を席巻しています。

タイ政府は、2030年までに国内で生産される30%以上をバッテリーEVに転換する方針を発表しました。その目標を達成するために、国内で生産される自動車メーカーに対して補助金を提供したり、生産工場やバッテリー生産工場に対する税制優遇措置も発表しています。タイ市場は、政府主導で内燃機関車のハブからEVのハブへと進化しようとしており、そのチャンスを狙っているのは、これまでシェアを取れていなかった中国メーカーたちです。

NETA V

タイ市場におけるバッテリーEVの販売台数とシェア率は急速に成長しています。2022年から2023年にかけて、バッテリーEVの月間販売台数は別次元の伸びを見せ、3月度では前年同月比で約10倍の成長率を達成しました。2023年の1月から3月の販売台数は、2022年シーズン全体の販売台数をすでに超えています。

新車販売全体におけるバッテリーEVのシェア率も急上昇しており、3月度では7%の大台に達しました。これは、タイ国内で売れた新車のうち、14台に1台がバッテリーEVに置き換わっていることを意味します。この急速な成長は、タイ市場においてバッテリーEVへの需要が大きく、供給がようやく追いつき始めた結果と考えられます。

タイ市場は、さらにバッテリーEVの販売が拡大するポテンシャルを秘めており、2023年中にバッテリーEVのシェア率が10%の大台を突破する可能性が高くなっています。この成長により、タイはEV発展途上国から脱却し、今年中には世界平均を上回るバッテリーEVシェア率を達成するかもしれません。

タイ市場の電動化率は急速に成長しており、日本市場と比較して大きな差が出ています。日本市場の最新のバッテリーEVシェア率は2%程度ですが、タイ市場では7%に達しており、日本が初めてシェア率で抜かされたのが2022年10月度で、現在はタイ市場が3.5倍以上のシェア率となっています。

タイ市場で人気のEVについて、2023年1月から3月までの販売台数ランキングでは、BYDのコンパクトSUV「Atto3」が圧倒的な人気を誇っており、累計で5500台以上を販売しています。2位のNETA Vの倍以上の販売台数で、Atto3が独壇場であることがわかります。

また、高級車に該当するテスラモデルYがタイ市場でナンバースリーにランクインし、1500台以上を販売しています。テスラは上海工場でタイ市場向けの車両生産を加速し、独自のスーパーチャージャーネットワークの設置も進めています。2023年中に13箇所のスーパーチャージャー建設を目指しており、これによってさらに販売台数が増加することが予想されます。

タイ市場における日本メーカーのEV販売は厳しい状況で、日産リーフが17台、トヨタbZ4Xが7台と売れ行きが低調です。

中国メーカー勢がEV工場建設ラッシュ

一方、中国メーカー勢は、タイ市場でのEV販売台数を増やすために、一気にEV生産工場の建設を進めています。

NETAは、初の海外生産工場としてタイを選び、2024年1月下旬までに実際の工場の稼働を開始する方針で、年産2万台の生産キャパシティがあります。これにより、タイ国内での生産によるコスト低減が見込まれ、NETAの競争力がさらに高まると考えられます。

また、BYDも3月中にタイ国内のEV生産工場の建設を開始し、2024年中の稼働開始を計画しています。年産15万台の生産キャパシティがあり、東南アジアやオセアニア地域、イギリスなどの右ハンドル市場に出荷を行う予定です。BYDもこの初の海外工場をASEAN地域のハブ工場にして、さらに世界展開を加速させようとしています。

台湾のフォックスコンは、タイのエネルギー企業PTTと合弁でHorizon Plusを設立し、タイでEV生産工場の建設を開始しており、2024年中にテスト生産が開始予定です。フォックスコンは、開発したEV専用プラットフォームを採用する各EVメーカーに生産ラインを提供する方針で、今後の動向が注目されます。

中国のChanganも、タイ国内にEV生産工場とバッテリー生産工場の建設を表明し、年産10万台規模の生産能力を持つ工場を建設予定です。アジアオセアニア地域やイギリス、南アフリカへの出荷も計画しています。

タイ市場はすでにEV先進国になりつつあり、東南アジアは日本メーカーが圧倒的なシェアを持つ重要マーケットですが、タイ市場での電気自動車販売台数では日本メーカーが後塵を拝しています。中国メーカーがタイ国内でEV工場を建設し、格安EVを大量生産する可能性もあり、日本メーカーの対応が問われる状況です。

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Author: EVネイティブ

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