【ガソリン車、震えて眠れ】ボルボが4年後から航続距離1000kmの次世代EVを発売することが決定
北欧の自動車メーカーであるボルボが、今後の電気自動車に関する最新技術を披露する発表会を開催し、
今後5年間で、航続距離1000kmの達成と充電時間の半減を両立するという異次元の目標を表明し、
2030年までの完全電気自動車化に向けた、ボルボの電気自動車に対する本気度についてを徹底的に解説します。
2030年までに完全EV化を宣言
まず今回のボルボに関してですが、北欧の自動車メーカーとなっていて、現在は、中国の自動車グループであるジーリーグループの傘下に所属していてるのですが、
そのボルボと、さらに高級電気自動車ブランドであるポールスターとともに、現在強力にその電動化を推進している最中であり、
もちろん電気自動車専門ブランドであるポールスターに関しては、今後も完全な電気自動車しか発売することはなく、
おそらく今年中にはワールドプレミアが開催され、来年である2022年中には発売が開始されると推測されている、
ミッドサイズセダンのポールスター2に続く、第三の電気自動車SUVである、ポールスター3が控えている状況ではあります。
そして特に注目に値するのが、ボルボに関しても、なんと9年後である2030年までには、発売する全ての車両を完全な電気自動車のみにするという大方針を発表し、
すでにボルボ初の完全な電気自動車であるXC40 Rechargeを昨年である2020年に発売しながら、今後は1年に一台のペースで、完全な電気自動車をラインナップしていくという、
その年間70万台程度の販売規模である自動車メーカーとは思えないほどの、アグレッシブな電動化戦略を提示してきてもいるのです。
ちなみに、今年である2021年の秋からは、コンパクトクロスオーバーEVであるC40 Rechargeを、我々である日本市場においても購入することができますので、
特にその先進的な所有方法であるサブスクリプション制という所有方法とともに、現在日本市場においては、最も注目するべき電気自動車の一台ともなっています。
年間65万台分のEVに必要なバッテリーを内製化済み
またボルボに関しては、来たる完全電気自動車時代に備えて、
最もコアテクであり、それと同時にそのコストを決定づけるリチウムイオンバッテリーの内製化にコミットするために、自社でバッテリー生産工場を立ち上げる方針を示し、
そのバッテリー生産に関して、ボルボは同じく北欧であるスウェーデンに本拠地を構えるバッテリーサプライヤーであるNorthVoltとパートナーシップを締結し、
年間にして50GWh級という大規模なバッテリー生産工場を、2026年から操業スタートすることも表明し、
それとともに、そのパートナーシップを締結しているNorthVoltから、追加で15GWh分のバッテリーも供給してもらうことによって、
100kWhという大容量のバッテリーを搭載した電気自動車に換算して、なんと65万台分のバッテリーを確保することに成功、しかもそのほとんどが自社で内製化されているバッテリーとなり、
例えば新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を受ける前の、ボルボの年間販売台数の合計が70万台程度でしたので、
なんと2021年の計画段階で、すでにボルボの自動車の年間生産台数分のバッテリーを確保することになった、
つまり2030年以降、完全な電気自動車のみを販売するという方針を達成する為の下準備が、すでに完了した、ということにもなるのです。
グーグルとタッグを組んでソフトウェアの完全内製化に着手
このように、その完全電気自動車時代に向けて様々な準備を爆速で進めているボルボなのですが、そのような状況において、今回新たに明らかになってきていることというのが、
今後発売する完全な電気自動車に搭載される最新技術を発表してきたということで、
まず注目すべきは、そのボルボの電気自動車の未来を表現した、Volvo Concept Rechargeというコンセプトモデルを発表し、
完全な電気自動車専用プラットフォームを採用したことによる、既存の内燃機関車では達成不可能な車内スペースであったり、より柔軟な車内の設計を可能にしています。
さらに、今後のソフトウェア中心の設計を目指すために、巨大テック企業であるグーグルとタッグを組んで、VolvoCars.OSというオペレーティングシステムを自社開発し、
そして、その内製化されたソフトウェアを最適に動かすためのハードについても、中央集権型のコンピューティングシステムを採用することによって、
その中心のコンピューターに付随している様々なECUを一元的に管理することができ、
したがって、ソフトウェア側をアップデートしていくという、Over-the-Airソフトウェアアップデートを、車両性能に関わるファームウェアの細かいアップデートにまで、拡大適用させることができるのです。
あらゆるOTAアップデートが可能に
XC90のEVバージョンにLiDARを標準搭載へ
また、このような自社内製化されたソフトウェアと、中央の強力なコンピューティングシステムというハードウェアの両方を、
垂直統合することによってのみ達成することが可能な、あらゆる車両性能の無線アップデートによって、その車両は半永久的に進化し続けることができ、
特に今回のボルボに関しては、その強みを持っている安全性という観点を半永久的に向上させていく方針を示し、
そのために、LiDARを搭載することも同時にアナウンスされ、
こちらのLiDARというのは、レーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定できるといった技術のことであり、
現状の自動運転技術においてよく採用されているミリ波レーダーとカメラによる検知というのは、対象物までの距離計測は可能ですが、
正確な形状や位置関係を検知することは、現状非常に困難なのですが、
それに対して、今回のLiDARであれば、先行車・歩行者・建物などの距離や形状、位置関係までも、三次元的に把握することが可能となりますので、
今までとは別次元の空間認識能力を有することになるのです。
そしてボルボに関しては、そのLiDARとともに、垂直統合された車載コンピューティングシステムを、
来年である2022年に発売する、フラグシップモデルであるXC90の電気自動車バージョンに、なんと標準で搭載することも表明し、
したがって、そのXC90の電気自動車バーションについては、
特にボルボが強みを持っている安全性をはじめとして、ソフトウェアの無線アップデートによってあらゆる機能を半永久的にアップデートすることができるという、
まさにボルボが考えている、完全電動化時代とともに、よりソフトウェアファーストなクルマ造りという思想を体現した、初めてのフラグシップモデルという位置付けとなりそうです。
あらゆる車両操作をコントロール可能
2025年以降は航続距離1000kmがベンチマークに
さらに今回のボルボに関しては、その来年に発売を計画しているXC90の電気自動車バージョンを、ボルボの第二世代の電気自動車と定義し、
その電気自動車としての質である航続距離や充電性能を、すでに発表している第一世代の電気自動車である、XC40 RechargeやC40 Rechargeよりも大幅に性能を向上させているとしていますが、
それと同時に、その第二世代の後に続く、第三世代の電気自動車についても言及し、それが2025年頃に初めて発売されると説明していますが、
なんとその電気自動車としての質を極めて向上させ、
特に満充電あたりの航続距離については、リアルな航続距離として、大台の1000kmを達成するとしながら、
そのために、冒頭説明したパートナー企業であるNorthVoltと競合して開発するバッテリーセルの体積あたりのエネルギー密度を、1000Wh/Lにまで引き上げながら、
さらにその充電時間についても、現状のほぼ半分の時間まで短縮させる、という目標も打ち出しているのです。
ちなみに、今回紹介されている数値がどれほど挑戦的な目標であるのかに関してですが、
まず印象的な航続距離1000kmという数値については、おそらく欧州で一般的に採用される欧州WLTCモードという基準で想定されている数値ですので、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、
概ね900km程度という数値とはなりそうですが、
それでも電気自動車において不安材料となっている航続距離の短さという懸念点は、ほぼ解消に向かうといって差し支えないとは思います。
業界最高の全固体電池の数値にも匹敵か
また、体積あたりのエネルギー密度が1000Wh/Lという数値なのですが、
例えば中国のバッテリーサプライヤーであり、日産とも協力して研究開発が進む全固体電池のエネルギー密度の目標が、全く同様の1000Wh/Lであったり、
全固体電池のベンチャーであり、フォルクスワーゲングループが大規模に出資している、Quantum Scapeの目標値も、ほぼ同様の1000Wh/Lということで、
NorthVoltに関しては全固体電池の研究開発の具体的な目標を提示していませんので、
まさに全固体電池と同レベルのエネルギー密度、つまりゲームチェンジャーであると言われている全固体電池が達成できる満充電あたりの航続距離を、
既存のリチウムイオンバッテリーによって達成できると説明してきている、ということなのです。
充電時間は20分以内を実現見込み
また、充電時間の半減という観点についても、
例えば現在発売されているXC40 Rechargeの80%充電するまでにかかる時間が、38分程度とアナウンスされていますので、
つまり80%充電するまでにかかる時間は、20分以内にまで短縮する見込みである、
したがって、ボルボが2025年以降に発売する第三世代の電気自動車に関しては、満充電あたりの航続距離が、最も信用に値するEPAサイクルにおいても900km程度、
そして、その充電時間に関しても、20分以内で80%まで回復させることができるということになりますので、
いよいよ電気自動車がほとんどの方にとって実用性のある車両になり得るのではないか、ということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
革新的なバッテリー搭載方法によって安全性をさらに追求
ちなみに、その第三世代の電気自動車については、その非常にエネルギー密度の高いバッテリーセルを車体にそのまま埋め込んでしまい、シャシーと一体で設計してしまうという、
Cell to Chassisというバッテリーの搭載方法を採用するとし、
こちらに関しては、そのバッテリーセルを搭載する上での中間単位であるモジュールやバッテリーパックという単位を一切省くことができ、
したがって、そのバッテリーセルをより車体の中心部分に配置することができる、つまり、より重心点を低く、かつ中心方向に配置することができ、
それによって、万が一の横転事故などが発生したとしても、そのロールオーバーのリスクをさらに低減することができますし、
それとともに、シャシーと一体成形してしまうことによって、側方からの衝突にもさらに強くなりますので、
したがって、冒頭説明した、衝突事故回避能力をさらに向上させるために、無線アップデートによって半永久的にその回避能力をアップさせていくだけでなく、
万が一衝突事故が発生してしまったとしても、新たなバッテリーの搭載方法を採用することでその乗員の命を守ることを目指しているという、
まさにボルボの設計思想である安全性の追求という点を体現するアプローチである、ということですね。
ブロックチェーン&V2Xによる持続可能性
また、このようなボルボの一連の電気自動車の技術発表とともに、ボルボが同様に目指している持続可能性という観点においても、その最新テクノロジーの導入を表明し、
まず、電気自動車のバッテリーにおいて今後問題となってくるであろう、バッテリーの原材料についても、一体それが持続可能な手段で採掘・精製されているのか、
例えば、その原材料採掘時のCO2排出量はどうなっているのかであったり、
さらには、児童労働の問題なども含めて、ブロックチェーン技術を採用することで、よりパートナー企業やサプライヤーと緊密に連携し、
その全ての工程に対して責任を持つことを表明しています。
さらに、来年である2022年から発売をスタートするXC90の電気自動車バージョンからは、双方向充放電機能を搭載し、
例えば、電気自動車に貯められた電力を自宅やグリッド側に供給することによって、電力の平準化に貢献することができ、
よって、例えば日中に太陽光発電によって充電された電力を電気自動車に貯めておき、その電力を夜間に使用することによって、
その自宅と電気自動車のみによって、マイクログリッドを構築することができたりもします。
そして2025年までには、ボルボがパートナーシップを締結しているバッテリーサプライヤーは全て、100%再生可能エネルギーを使用してバッテリー生産を行うという決定も下していますので、
ただ発売する車種を全て電気自動車にするのではなく、その持続可能性という観点についても、様々な点から追求しようとしているということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
EVガラパゴスではダメなんです(定期)
何れにしてもこのように、2030年から発売する全ての車両を完全な電気自動車するという大方針を示しているボルボというのは、
そのコアテクでもあるバッテリーの供給体制を確保しながら、
その電気自動車を全ての人が満足できるように、満充電あたりの航続距離を1000km、充電時間を20分以下という、極めて質の高いスペックを達成しながら、
さらに、内製化されたソフトウェアと中央集権型のハードウェアを統合することによって、車両性能を半永久的にアップデートすることを可能とし、
それと同時に、ボルボの理念でもある安全性を、電気自動車の技術革新によってさらに追求し、
また、持続可能性についても、より広い範囲にわたって責任を持つという姿勢を明確にもしてきましたので、
とにかく完全電気自動車時代に向けて、今までのハイブリッド技術が使えなくなってしまうので、
自分たちの市場はガラパゴス市場になっても問題ないんだ、自分たちの世代だけ逃げ切れればいいんだという後ろ向きの思考ではなく、
電気自動車によって達成可能な、ポジティブな未来に向けて爆速で進んでいるという、世界の自動車メーカーの懐の深さ、
ポテンシャルの違いのような物を感じてしまうのは私だけでしょうか?
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Author: EVネイティブ