日本市場でも販売台数を伸ばしている、エンジンも併用して走行可能なプラグインハイブリッド車について、
なんと、実際の走行条件においては、メーカーが提示していた基準を大幅にオーバーし、
環境に悪いことが判明してしまいました。
EVの一種としていいとこ取りのPHEVではあったが、、
まず、電気自動車と一口に言っても、大きく2種類が存在しているという点が重要であり、
日産リーフやテスラ車のように、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する、完全な電気自動車と、
そのバッテリーとともに、既存のガソリンエンジンも搭載して、
両方を併用して走行することが可能なプラグインハイブリッド車、
略してPHEVという2つのカテゴリーがあるわけで、
確かに、現在発売されているPHEVの多くは、充電された電気のみで走行できる航続距離が、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルベースにおいて、
概ね40-50kmほどありますので、
それこそ、買い物や通勤という日常使いは電気のみで運用し、
週末などにおいて遠出をする際は、主にハイブリッド車のように、ガソリンを中心に使用して走行することによって、
特に我々電気自動車発展途上国家でありながら、充電インフラが先進諸国の中でも異常なほどの脆弱な日本市場などであれば、
長距離移動の際の、途中充電を必要とせずに、ストレスフリーで移動を楽しむことができるのです。
実際に、電気自動車先進国が集まるヨーロッパ市場においては、
電気自動車のうち、概ね4割ほどがPHEVという構成になっているわけですし、
確かにガソリンエンジンを搭載して、ガソリンを燃やすことも可能であるものの、
この充電インフラの問題などという、完全電気自動車への移行期間という過渡期的な意味合いにおいては、
個人的には二酸化炭素を、段階的に減らすという観点で、PHEVというラインナップも必要である、という見解を主張して、
完全電気自動車とともに、PHEVの販売台数動向についてもウォッチを続けていた、という背景があったのです。
PHEVがメーカー公表値よりも12倍CO2を排出!?
そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきてしまった、驚きのデータというのが、
その電気自動車の1種類であるPHEVに関して、
ヨーロッパの環境保護に関する第三者機関である、Transport & environmentが発表したレポートによると、
自動車メーカーが公式に発表しているPHEVの二酸化炭素排出量と、
実用使いにおいて測定された実際にCO2排出量とを比較してみたところ、
自動車メーカーの測定値と比較して、
なんと最大で、12倍ものCO2が、実際には排出されてしまっている、
ということが明らかとなってしまったのです。
こちらのグラフは、ヨーロッパ市場において人気のPHEVである、
BMWのX5、ボルボのXC60、そして三菱アウトランダーの3車種の、
そのそれぞれの走行モードにおける、二酸化炭素排出量を示しているのですが、
紫色で示されている、各自動車メーカーが公表している公式の二酸化炭素排出量と比較しても、
どの走行モードであったとしても、CO2排出量が多くなってしまっているわけなのです。
特に最悪なのが、
ガソリンで走行しながら、さらにガソリンを燃焼させて得られる電力を、バッテリーに充電するという、
青で示されたBattery Charging Modeで、どの車種も排出量が数倍も多くなってしまっていますが、
中でもBMWのX5に関しては、
メーカー公表値の、なんと12倍もの二酸化炭素を排出してしまっているのです。
しかもその上、水色で示されているElectric Modeと呼ばれる、いわゆる電気のみで走行するモードであったとしても、
なぜかCO2を排出してしまっているわけであり、
こちらは実際にPHEVを所有している方であればお分かりいただけると思いますが、
PHEVシステムが冷たかったり暑かったりした場合は、その温度調整のためにエンジンが始動してしまったり、
ある一定程度鋭い加速力を必要とした場合や、車内の空調システムを起動した際も、
自動的にエンジンが始動してしまうわけであり、
したがって、Electric Modeという、電気のみで走行するモードを選択したとしても、
一切CO2を排出することがないのかといえば、実はそうでもないというのが実情であるのです。
何れにしても今回のレポートによって図らずも浮き彫りとなってしまったことというのが、
やはりPHEVに関しても、結局はCO2排出する、
しかもその量が想像以上に多かったということで、
ハイブリッド車を含む内燃機関車と同様に、今後環境規制をさらに強化されてしまう、
遅かれ早かれ、PHEVを販売することができなくなり、最終的には絶滅に向かっていく、ということですね。
PHEVの販売を制限する動きに発展する可能性
ちなみにですが、
そもそも論として、PHEVが電力のみで走行可能なEPA航続距離というのは、
今後も100kmを大きく超えてくるようなことはないでしょうし、
それを達成するためにさらに大容量のバッテリー容量を搭載しようというものなら、
もはや完全電気自動車を購入した方がよっぽど楽で、
その理由は単純明快であり、
PHEVはバッテリーとガソリンエンジンという、
完全電気自動車と内燃機関車の両方のパーツを搭載しなければならず、
内燃機関車は燃料補給のためのガソリンスタンドの大幅減少によって、利便性が著しく悪化しますし、
完全電気自動車の場合は、今後数年で同セグメントの内燃機関車と同じ価格帯に収まっていきますし、
それと同時に、技術革新によって、満充電あたりの航続距離も、今後さらなる向上が見込まれるということ、
しかもその上、内燃機関車、特にハイブリッド車と比較しても、
その構造が非常にシンプルであるがゆえに、ランニングコストが格安で抑えられるという、
ユーザーからしてみればメリットしか存在しないということになりますので、
このような、完全電気自動車のメリットを享受することができず、
しかも、内燃機関車のデメリットを今後被ることになってしまう、
もっと言ってしまえば、PHEVという、さらにガソリンの給油回数が少なくなるパワートレインの存在によって、
ガソリンスタンドの経営にとどめを刺す可能性すらある、
このPHEVという電気自動車は、
残念ながら中長期的には、完全に絶滅することになる、ということなのです。
そして、この直近において、そのTransport&Environmentについては、
現状のPHEVに対する環境性能の評価方法を、
より現実的な数値として算出できるように改善を求めているということであり、
もしかしたら、欧州委員会が今回の報告を受けて、PHEVに対する環境性能の評価方法を、より現実に即した評価方法に変更してくる可能性があり、
すると、現在環境基準を達成するために、その販売に全力を挙げているPHEVが、もはやガソリン車などと同様に、
販売することができなくなる可能性すら出てくる、
そうなれば、現在PHEVを電気自動車のカテゴリーとして含めている、アメリカ、中国などの列強が、
PHEVへの規制を強めてくる可能性すら出てくる、
したがって、そのような列強の動きに追随することしかできない我々日本市場についても、
今後もしかしたら、PHEVの販売も規制される方向に進む可能性も、出てくるのかもしれません。
何れにしても、環境保護という観点では、これまで考えられてきたPHEVのメリットは、
かなり消滅してしまったと結論づけられると思いますが、
それでも、ガソリンによる発電ではなく、充電のみで運用する場合は、やはりハイブリッド車を含む内燃機関車よりはマシですので、
電気自動車には興味はあるが、
やはり満充電あたりの航続距離、そして充電インフラの脆弱さを含めた充電性能という電気自動車としての質が、
ご自身のライフスタイルにマッチしなかった場合は、
環境性能という観点で、PHEVの購入も一定程度検討の余地はあると思いますので、
とにかく一般消費者である皆さんについては、
ご自身のライフスタイルにあった車両の購入をしていただくことがいい、ということですね。
From: Transport & Environment
Author: EVネイティブ
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