北米市場の中古車販売大手による電気自動車に関する様々な調査によって、テスラが中古EVにおいて圧倒的な人気があることが判明しながら、その中古EVを購入する際にトヨタ車のオーナーからの乗り換えが最も多いという調査結果が判明、
そのトヨタが育て上げたユーザーを手放してしまっているという観点から、なぜトヨタが真の意味で全方位戦略を実行しなければならなかったのかに関する理由を考察します。
トヨタはEVを購入したいと考えているユーザーを逃しています
アメリカの中古車販売大手カーマックスが電気自動車に関する意識調査や中古EVの人気を定期的に発表しており、その結果を見てみると以下のような傾向があります。
- 中古EVに対する消費者の関心度合いが増加しており、特に2022年10月には検索率が史上最高の5.6%を記録しました。これは、ウクライナ侵略によるガソリン価格の高騰が影響していると考えられます。
- カーマックスで人気の中古EVは、テスラモデル3がトップで、平均取引価格は37,000ドル(約507万円)です。しかし、新車価格と税額控除を考慮すると、新車購入がお得と感じる方もいるでしょう。
- 第3位にランクインした中古の日産リーフは、平均取引価格24,000ドル(約328万円)で購入可能です。アメリカでは、中古車EVにも税額控除が適用されるため、リーフは中古車市場でのプレゼンスが高まる可能性があります。
総じて、アメリカの中古車市場では、電気自動車への関心が高まっており、特に中古のテスラモデル3や日産リーフが人気です。ただし、新車価格や税額控除を考慮すると、新車購入も一考に値するでしょう。
カーマックスの調査によると、中古EVを購入する消費者の中で最も多い下取り車メーカーはトヨタであり、トヨタ単体で全下取り車の12%を占めているという事実が判明しました。さらに、トヨタの高級ブランドであるレクサスも4%を占めており、トヨタとレクサスを合わせると、7人に1人以上がこれらのブランドの車を下取りに出しています。
この結果は、北米市場で最も売れているブランドの1つがトヨタであることを考慮すると、ある程度予想される結果です。ただし、他の競合メーカーであるフォードやシボレーと比較しても、トヨタの下取り割合が明らかに高いことがわかります。これは、トヨタユーザーが他のメーカーのユーザーに比べて、中古EVへの関心が高いことを示しています。
しかし、トヨタは現時点でbZ4XしかEVをラインナップしていないため、トヨタユーザーは他のメーカーの中古EVを購入せざるを得ない状況にあります。特に、プリウスオーナーは、同じ車格で安価に購入できる日産リーフに乗り換える傾向があります。
さらに、テスラモデル3の2番目に多い下取り車両はトヨタのピックアップトラックであるタコマです。これもまた、トヨタユーザーがEVを多く販売する他社に流出していることを示しています。
これらの結果から、トヨタが電気自動車を十分にラインナップできていないことが、同社の北米市場における販売台数低下に影響している可能性があることが示唆されます。競合メーカーが生産体制を立て直し、販売台数を伸ばしている中、トヨタは電気自動車のラインナップを充実させることが求められるでしょう。
ホンダも顧客流出が始まっています
確かに、ホンダもトヨタと同様に、北米市場での電気自動車(EV)ラインナップの遅れが懸念されています。ホンダ車のオーナーが中古EVに乗り換える割合が高いことから、ホンダが早急にEV市場に対応する必要があることが明らかです。
ホンダが最初のEVであるプロローグを2024年に発売するとしても、それまでに中古EV市場で競合他社にユーザーが流出する可能性が高まります。このままでは、ホンダのブランド力や市場シェアがさらに低下する恐れがあります。
今後、トヨタやホンダは、電気自動車のラインナップを急速に拡充し、中古市場にもその存在感を示す必要があるでしょう。
既に他のメーカーのEVに乗り換えてしまったユーザーを再び取り戻すためには、トヨタやホンダが独自の技術や魅力を活かしたEVラインナップを展開することが求められます。また、サービスや保証などの面でも、他社に負けない魅力を打ち出すことが重要です。
一方で、中古EV市場の盛り上がりを受けて、新車EV市場も活性化し、環境に配慮した車選びが一般化することは、地球環境にとってもポジティブな影響をもたらすと言えるでしょう。
結局のところ、トヨタやホンダがどの程度のスピード感を持ってEV市場に適応し、ユーザーのニーズに応えられるかが、今後の北米市場における成功の鍵となるでしょう。
From: Carmax
Author: EVネイティブ