【やることなすこと全部ガラパゴス化、、】日本発&世界初のチャデモ規格を排除する動きが各国で活発化
日本初の電気自動車の充電規格であったチャデモ規格を、海外の国においてその設置義務を撤廃するという、「チャデモ外し」の動きが活発化してきました。
急速充電と普通充電の違い
まず、今回の電気自動車における急速充電器に関してですが、
こちらは電気自動車に興味がない方などでも一般的に想像することができる、
いわゆる數十分という時間で持って、おおよそ80%程度の充電を完了させることができてしまうという充電の仕方であり、
こちらは基本的には、滞在時間が短いような、例えば高速道路上のサービスエリアであったり、道の駅であったりという、
長距離走行の途中で必要となる電力を回復させるというような使用用途なのですが、
それと同時に、自宅やショッピングモール、さらには滞在先の宿泊施設などの、比較的長時間の滞在時間が見込まれるような施設の場合、
そのような高出力の急速充電器を設置する必要がなく、
よって普通充電器と呼ばれる、充電スピードが遅いながらも、別に長時間充電することが可能ですので、必要な電力量を必要十分に回復させることができ、
しかも低出力な分だけ、電力契約の基本料金などのランニングコストを抑えることも可能となるのです。
つまり、そもそも電気自動車の充電方法というのは大きく2種類が存在し、
したがって、その用途にあった充電方法を最適に設置していくことで、より持続的な充電インフラを構築することができますので、
本チャンネルにおいては、特に世間ではなかなかイメージすることのできない、自宅などをはじめとする普通充電の持つポテンシャルについてを、特に情報発信しているという背景となっていました。
世界をリードしていた日本発の充電規格
そして今回は、その普通充電ではなく、高速道路上などの、比較的短時間の滞在者向けに必要な充電方法である急速充電器についての、我々日本市場における現状と課題、
また、グローバルと比較して、どのような点が日本の充電インフラを脆弱なものにしてしまっているのか、
そしてその解決策についてを考察していきたいと思いますが、
まず、日本の急速充電インフラについての現状認識を行なっていくと、
2021年6月時点における電気自動車用の急速充電器の数は、チャデモ規格が7823ヶ所、
そしてテスラ専用の急速充電器であるスーパーチャージャーが196ヶ所となっていて、
そもそもチャデモ規格であったりスーパーチャージャーであったり、その充電規格とは具体的に何が異なるのかという疑問についてですが、
結論から申し上げれば、その充電プラグの差し込み口の形状が異なるということで、
このようにグローバルでは主に5種類ほどの充電規格が群雄割拠し、
まず我々である日本市場については、先ほど説明したように、テスラ独自の急速充電器であるスーパーチャージャー以外は、ほぼ例外なくチャデモ規格が採用されているということになり、
実はこのチャデモ規格というのは、2009年に初めて急速充電器が設置されましたので、世界初の急速充電規格ということになり、
この意味においては、まさに世界をリードする充電規格となっていたのです。
様々な充電規格が乱立する群雄割拠時代へ
しかしながら、その後は主要マーケットである欧米や中国市場において、それぞれの急速充電規格が誕生し、
まずお隣中国市場に関しては、2013年に、GB/Tと呼ばれる充電規格を採用した初めての急速充電器が設置され、
さらにアメリカ市場やヨーロッパ市場に関しては、普通充電器をセットで管理することができるという充電規格であるCCSという充電規格をそれぞれ開発し、
アメリカ市場においてはCCSタイプ1、ヨーロッパ市場においてはCCSタイプ2と名付け、それぞれ独自に整備を進めている状況となっています。
ただし、そのヨーロッパ市場やアメリカ市場に関しては、そのCCSという充電規格が誕生する前から、すでに世界初の本格量産電気自動車であるリーフが発売されていたため、
そのリーフに採用されているチャデモ規格に対応した急速充電器をかなりの数設置を進めてもいましたので、
2021年現時点においても、そのチャデモ規格の急速充電器の設置を一定数進めてもいるという状況となってはいます。
”急速”ではない急速充電器の存在
そして、我々日本市場に話を戻すと、その8000基近くの急速充電器のほとんどが日本から誕生したチャデモ規格となりますので、
その欧米市場などにおける、複数の充電規格の乱立による、その充電規格に対する紛らわしさを解消することには貢献しているのですが、
このチャデモ規格のスペックというのは、現在グローバルにおける充電規格のスペックに全く追いついていない状況となっていて、
そもそも日本市場におけるチャデモ急速充電器である7823ヶ所の全てが、同じような充電性能を発揮するわけではなく、
というのも、このように、その充電器それぞれが発揮することのできる充電出力が、20kW未満というスペックから、より高出力な90kW以上という出力に至るまで、様々に存在しているのです。
例えば、20kW級の充電器と90kW級の充電器では、いったいどの程度の性能の違いとなるのかを比較してみると、
まず20kW級の充電器で30分充電した場合、その回復電力量は10kWhということになり、
現在発売されている多くの電気自動車は1kWhあたり6kmほど走行することができるという電費性能になるとイメージしてもらっていいですので、
つまり、30分間の充電でたったの60kmしか充電することができず、
このような充電器も、日本市場における7823カ所の急速充電器の1つとしてカウントされてしまっているのです。
対して、90kW級の充電器で30分間充電した場合、その回復電力量はマックスで45kWh、
つまり30分間の充電で、電気自動車の航続距離に換算して、およそ270km分の電力量を回復することが可能となりますので、
先ほどのたった60km分の航続距離しか回復させられない20kW級の充電器と比較しても、その性能の差は雲泥の差ということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
それでは、そのような30分の充電で270km分も充電することができてしまうような、高スペックな急速充電器は日本にいくつ存在するのかという点に関してですが、
なんと116ヶ所と、
つまり、日本市場に設置されている急速充電器のほとんどが、そのようなハイパワーで充電することのできない充電器であり、
したがって、よく、その7823台という急速充電器の数のみを取り上げて、グローバルと比較して一定の評価を獲得してしまっている、我々日本市場の急速充電インフラというのは、
その中身を正確に見てみると、極めて脆弱な充電インフラ網であったということが図らずも浮き彫りとなってきている、ということなのです。
EV充電器事業がビジネスとして成立し始めているヨーロッパ
では、対するグローバルにおける急速充電インフラの設置状況はどうなっているのかというと、
まず、ヨーロッパ市場に関しては、フォルクスワーゲングループやBMW、ダイムラー、そしてヒュンダイなどの自動車メーカーが出資して、IONITYという充電器管理運営企業を立ち上げて、
すでに独自に急速充電器をヨーロッパ全土に普及させていて、このマップを見ただけでも、その普及度合いが一目瞭然ではあるのですが、
特に特筆すべき点が2つ存在し、まずは、この図で示されているポイントは、あくまで急速充電ステーションの設置数であり、
先ほど説明した、日本市場における充電器の数というのは、その設置されている充電器の数であり、
ヨーロッパ市場における充電ステーションには、1地点あたり少なくとも4基、多ければ10基もの急速充電器が設置されていますので、
例えば、その充電ステーションに向かったら、先客がいたことで充電待ちが発生してしまったというようなリスクを、極めて最小限に抑えることができるのです。
そして、その充電器のスペックに関しても、なんと350kW級という超高出力な急速充電器となりますので、
そもそも日本市場で言われている超高速タイプである90kWというスペックの、実に4倍程度の充電出力を発揮することができる、
つまりそれだけ、より早い充電スピードを期待することができますので、その利便性も雲泥の差であり、
なぜ現在ヨーロッパ市場において、電気自動車の販売台数が急速に高まっているのかの、大きな要因であると考えられるのではないでしょうか?
また、そのIONITYだけではなく、ヨーロッパ市場においては次々と新たな充電器管理運営企業が誕生し、
例えば直近においては、Electric Highwayというイギリスの高速充電ネットワークを管理する企業が、初めてイギリス市場の高速道路上に、350kW級という超急速充電器の設置をスタートさせ、
その設置台数が1ステーションあたり12基という、かなりの規模感の充電ステーションを、今後イギリス全土のハイウェイ上に設置することを表明してきたり、
さらにはマクドナルドが充電器管理運営企業とタッグを組んで、急速充電器を設置したりと、
とにかく国主導のインフラ整備の動きではなく、民間が主導して、充電インフラ構築という新たなビジネスモデルが完全に回り始めているのです。
また、アメリカ市場においても全く同様に、フォルクスワーゲングループのElectrify Americaという企業が、
すでに350kW級超急速充電ステーションを、広大なアメリカ大陸全土に広げ、
その1つのステーションに、最大8基程度の充電器を設置していますので、こちらも日本市場とは全く別次元での充電インフラのスペックでありながら、
この動きに関しては、バイデン政権による電気自動車に対する超強力なバックアップもあり、今後さらに加速度をつけて設置が進んでいくことでしょう。
チャデモは完全にガラパゴス規格に突入
つまり、このように我々日本市場とグローバルにおける急速充電インフラの整備状況、そしてその利便性を比較してみると、
そのどちらにおいても、日本市場というのは完全に周回遅れという状況であり、
特にそのチャデモ規格という充電器規格を採用していることによって、海外で起こった、そのチャデモ規格を追い越そうとするムーブメントにより、
その充電性能のスペックがチャデモを完全に凌駕しているという状況につながっていると考えられ、
このような視点においても、日本の充電インフラ網、特にチャデモ規格は完全にガラパゴス化の一途を辿りはじめている、というわけですね。
”チャデモ外し”の号砲が世界中で
そして、そのほかの海外の充電規格と比較してもレベルの低いチャデモ規格に関して、今回新たに明らかになってきてしまったことというのが、
そのチャデモ規格を、今後海外が設置しない方針を表明してきているということで、
まず発端が、フランス市場における法改正なのですが、
実は現状までは、急速充電器を設置する場合、現在ヨーロッパ市場で主流のCCSタイプ2以外にも、チャデモ規格のプラグを設置しなければならないという法律が存在していて、
こちらに関しては、すでに街中を走っているリーフなどをはじめとするチャデモ規格に対応した電気自動車の不公平性を緩和するための法制度だったのですが、
今回の法改正によって、今後新たに設置する急速充電器にチャデモ規格を設置しなくても良いという旨の修正が記載されましたので、
すでにフランスで発売されている電気自動車のほとんどにチャデモ規格が採用されていないという現状を踏まえた、まさに合理的な戦略とも言えるわけなのです。
さらに、全く同様の動きがアメリカ市場でも見られていて、
先ほど取り上げたElectrify Americaに関しては、その設置した充電ステーションの中で、最低でも1基はチャデモ規格の充電器を設置することをアナウンスしてはいますが、
すでにアメリカ市場において発売されているほとんどの電気自動車に関しても、チャデモ規格は採用されていませんので、
そのフランス市場を発端とするチャデモ規格の締め出しを、このアメリカ市場も追随してくる可能性が十分考えられる、ということなのです。
グローバルスタンダードな急速充電インフラの普及無くしてEVの普及無し
何れにしてもこのように、世界の先進国の中でぶっちぎりで電気自動車発展途上国とかしてしまっている我々日本市場において、
なぜ電気自動車が普及していかないのか、それは急速充電インフラが極めて脆弱であるという点が挙げられ、
特に実用的な急速充電器として求められる最低限のスペックである90kW級の充電器すらも、ほぼ全く設置されていないという状況でありながら、
対する海外では、すでに350kW級という超急速充電器が設置されていますので、
この利便性という観点で、どれほどまでに遅れてしまっているか、
そして、その日本の充電インフラ網を脆弱にしている諸悪の根源が、日本独自の充電規格であるチャデモのスペック不足によるものであり、
世界では、いよいよ本格的にチャデモ外しの動きが活発化する中において、
果たして日本は今後もガラパゴス規格である質の低いチャデモ規格とともに、電気自動車発展途上国への道を歩み続けるのか、
それともチャデモ規格でもグローバルスタンダードな充電性能のスペックを達成できるよう改善し、
世界でも類を見ない充電インフラの脆弱さから脱却を図り、グローバルで勃発している電気自動車戦争に参戦しようとするのか、
チャデモ規格の開発などを担当しているチャデモ協議会、ならびに日本の充電器管理運営企業であるe-Mobility Power、
さらには日本の自動車メーカーであり、今後そのような高出力な充電器の性能を発揮できる電気自動車を発売しようとしている、日産やトヨタ、ホンダなどの賢明な判断に期待したいと思います。
From: electrive
Author: EVネイティブ
アウディジャパンはディーラーに150kw級のチャデモを整備すると発表しましたね。今のところ全国約100店舗のe-tron取扱店限定のようですが、150kw級が100ヶ所というのはそれなりのインパクトがあるように感じます。
150kwチャデモが100ヶ所もできたら、すごいですね。テスラのSCよりも、数も拠点も多いですね。
ただ、ディーラーに設置するというアナウンスだけだとすると、全国の主要都市部のみの数カ所かもしれませんね。
諸悪の根元チャデモが変わってくれると良いですが、200Kw 等のハイパワーで充電しても、劣化しない様に
バッテリーの温度管理等がしっかり
出来る車を作って欲しいと、メーカー側にお願いしたいです。